Kensho(S&P Global)
概要
Kensho は S&P Global 傘下の AI 部門。単体の分析アプリではなく、S&P Global のデータを LLM や AI エージェントから扱える形に整えるための基盤 API 群を提供しています。金融ドキュメントの構造化、企業エンティティの名寄せ、音声書き起こしといった「データを AI 対応にする」処理と、S&P Global のデータへ自然言語でアクセスする経路の両方を担います。
主な機能
Extract — ドキュメントの構造化
PDF の財務資料を機械可読な JSON に変換。複雑な表組みやレイアウトを解釈したうえで構造化データとして取り出せます。
Link — 企業データの名寄せ
表記ゆれや欠損のある企業名データを、数百万件規模で S&P Global の識別子に突合します。
Scribe — 金融特化の音声書き起こし
決算コールなど金融特有の固有名詞・数値に強い音声認識。最新モデルでは従来比で誤り率が約 30% 低減しています。
NERD — エンティティリンキング
テキスト中の企業・証券・概念を検出し、既存の構造化ナレッジへリンクします。
LLM-ready API(Deterministic Retrieval)
S&P Capital IQ Financials、決算コールトランスクリプト、Company Intelligence、非公開企業財務などを自然言語で照会でき、Claude・ChatGPT・Copilot からは MCP サーバー経由で接続できます。前処理済みのデータが返るため、自社アプリに組み込む際の整形コストがかかりません。
Adaptive Retrieval
2026 年 7 月に提供開始。複数データセットにまたがる多段階の問い合わせを AI エージェントが自動で組み立てて取得する方式で、従来の Deterministic Retrieval と組み合わせて使い分けます。
S&P Global Agent Skills
AI エージェントに財務スキルを与えるプラグインとして公開されており、Capital IQ の財務・予想・決算トランスクリプトへの問い合わせをエージェントのワークフローに直接組み込めます。
プロダクトへの組み込み
Kensho Data Platforms 部門が Capital IQ Pro などのクライアント向けインターフェースを AI ネイティブ化しており、Document Intelligence など S&P 製品側の AI 機能を支えています。
プラン・料金
- 公式価格は非公開(エンタープライズ契約)
- S&P Global Marketplace および S&P Global AI Data Portal 経由で提供
- S&P Capital IQ Pro など S&P プロダクトにも機能として組み込み
- 主な顧客は機関投資家、銀行、ヘッジファンド、データチーム
代表的な活用例
- 社内 AI アプリへの S&P Global データ組み込み
- エージェントによる財務データ照会(MCP 経由)
- 大量 PDF の構造化とデータパイプライン整備
- 決算コールの書き起こしと検索基盤化
- 企業マスタの名寄せとデータ品質改善
強み
- ✅ S&P Global の広大な金融データに直結
- ✅ MCP / エージェント経由のアクセスに対応済み
- ✅ 前処理済みデータが返るため実装コストが低い
- ✅ 金融特化の書き起こし・エンティティリンキング精度
- ✅ 規制対応の厳しい金融機関での実運用実績
弱み
- ❌ API 群であり単体の完成プロダクトではない(導入工数が必要)
- ❌ 料金が不透明でエンタープライズ契約が前提
- ❌ S&P Global のデータライセンスが前提になる場面が多い
- ❌ 非英語市場では機能・カバレッジが限定的
公式情報
- 公式サイト: https://kensho.com
- ドキュメント: https://docs.kensho.com
- S&P Global: https://www.spglobal.com