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From Research to Deck

調べるAIが、
資料まで作るAIになった。

リサーチツール AlphaSense が、PowerPoint と Excel に直接組み込むAIアシスタント「Work Products」を投入した。調査結果を集めるだけでなく、出典付きのピッチ資料や財務モデルまで、アプリを離れずに作れるようになる。

AI Navigate 編集部2026.09.22読了 6分

Research Work Products PowerPoint Excel
01

What Happened

「調べた後」の作業も、
同じツールに収める

機関投資家・企業向けリサーチプラットフォームの AlphaSense は、公式発表で PowerPoint・Excel それぞれに組み込む形のネイティブAIアシスタント「Work Products」を投入したと明らかにした。ひとつのプロンプトから、ピッチ資料・financial model・メモ・競合分析といった成果物を、自社のブランドテンプレートやチーム標準フォーマットに沿って生成できる。

特長は「リサーチと成果物作成を同じアプリ内で完結させる」点にある。2026年7月14日付のリリースによれば、Excel側ではAlphaSenseの実績データ・開示資料・決算説明会の書き起こしなどを、出典を保ったまま直接引き込める。調査から資料化まで、アプリを行き来する手間が消える設計だ。

今回の発表は単体機能の追加ではなく、既存の検索機能「Generative Search」にもスライド生成のワークフローを組み込む、より広い刷新の一部として位置づけられている。つまりAlphaSenseは、検索結果の一覧表示という従来の役割から、検索の延長線上で成果物そのものを組み立てるところまで踏み込んだことになる。

これまでWork Products導入後
リサーチ結果を見ながら手作業でスライド化1プロンプトで下書きを自動生成
数値の裏取りは別途コピー&ペースト出典付きで自動反映、追跡可能
テンプレート適用は人手で調整自社ブランド/チーム標準フォーマットを維持
リサーチと資料作成が別工程同一アプリ内で一気通貫
02

導入企業が語る短縮効果

60〜70%
資料完成までの時間短縮(Blue Deer Capital談)
2026.7.14
Work Products 発表日

投資助言会社 Blue Deer Capital は、複雑な調査結果から取締役会向けの資料に仕上げるまでの作業が、AlphaSense for PowerPoint の導入によっておよそ60〜70%短縮されたと、AlphaSense側の紹介記事で語っている。これは同社1社の実感であり、すべての利用企業に同じ数字が当てはまるとは限らない点には注意が要る。


リサーチの後に待っていた
「深夜のスライド作り」を、前倒しで終わらせる。


03

Who It Affects

誰の残業時間が減るのか

投資銀行・PEのアナリスト

取締役会向け資料や投資委員会向けメモの締切前、リサーチと清書を並行して回す必要がなくなり、内容の精度確認に時間を割けるようになる。

事業会社の経営企画・IR

競合分析や市場動向のまとめを、社内標準フォーマットのまま素早く出せるため、経営会議前の資料作成サイクルが短縮できる。

コンプライアンス・監査

出典が生成物に残るため、数字の根拠確認や監査対応の負荷が下がる一方、AIが要約した文言そのものの正確性チェックという新しい確認項目が加わる。

04

Why Now / Risk

「リサーチAI」の次の戦場

金融・法務向けリサーチAIはこの1〜2年、検索・要約の精度競争が中心だった。そこにAlphaSenseが「成果物の生成」まで踏み込んだのは、リサーチと資料作成が実は別々のツールとワークフローに分断されており、その継ぎ目にこそ時間がかかっていたという課題認識があるからだろう。似た方向性はKenshoのCopilot連携などにも見られ、金融系AIの競争軸が「情報を探す速さ」から「成果物に落とすまでの速さ」へ移りつつあることの一例といえる。

楽観一辺倒にはできない点もある。60〜70%という短縮効果は特定の導入企業1社の談話であり、AlphaSense自身が全顧客平均として保証した数値ではない。また、AIが自動生成した資料をそのまま社外に出す運用には、要約段階での誤読・誤引用のリスクが伴う。特に取締役会や投資委員会向けなど「高stakes」な資料ほど、生成後の人間によるレビュー工程を省略しない設計が欠かせない。効率化の恩恵と、最終責任者によるチェックの手間は、今後もセットで語られるべきテーマだ。導入を検討するなら、まずは社内向けの下書き・一次案づくりなど、人間のレビューを前提とした用途から始め、外部提出用の最終資料にそのまま流用しない運用ルールを先に決めておくのが現実的だろう。