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Elicit · Collaborative Sessions

研究のAI壁打ちが、ひとり作業ではなくなる。

先月まで、ElicitでのAIとの対話は基本的に1人で進め、レビューは後工程で行うものだった。新機能「Collaborative Sessions」は、複数の研究者が同じセッションに入り、同時にAIと分析を進められるようにする。

AI Navigate 編集部2026.09.16読了 6分

従来:ひとりで進行 後でレビュー Collaborative Sessions 同じセッションで 同時にAIと分析
01
The Announcement

「レビューは後で」から
「その場で一緒に」へ

先月までのElicitでのAIとの壁打ちは、基本的に1人で進めるものだった。

Elicitは、複数の研究者が同じセッション内で同時にAIと分析を進められる「Collaborative Sessions」を追加した公式サイトで発表している。これまでは、ある研究者がAIと対話しながら文献レビューや分析の骨子を作り、それを共有してから他のメンバーがレビューするという、時間差のあるワークフローが前提だった。Collaborative Sessionsは、この時間差そのものをなくす方向の機能追加になる。

Elicitはもともと文献レビュー・エビデンス統合をAIで支援するリサーチツールとして知られており、製品の全体像はElicitのプロダクトページにまとまっている。今回の追加は、個人向けの効率化ツールから、チームのリサーチワークフローそのものに組み込まれるツールへ立ち位置を広げる動きと読める。

これまでCollaborative Sessions導入後
AIとの対話は基本的に1人で進行複数人が同じセッションに同時参加
分析結果の確認は後工程のレビュー分析の途中経過をその場で確認できる
認識のズレは共有時に初めて判明ズレをリアルタイムで揃えられる

02
Why It Matters

なぜ「同時参加」が
リサーチAIに必要だったのか

AI支援リサーチツールの多くは、個人の生産性向上を出発点に設計されてきた。

複数人
同一セッションへの同時参加
リアルタイム
分析の進行を共有
個人→チーム
ツールの立ち位置の拡張

共同研究では、複数人が同じ論文群を見ていても、それぞれが個別にAIへ質問し、後から結果をすり合わせるという非効率が起きやすい。同じ問いに対する解釈のズレは、最終的な共有ミーティングまで表面化しないことも多く、そこで初めて手戻りが発生する。Collaborative Sessionsは、このズレをリアルタイムの場で解消できるようにする点に価値がある。

一方で、これは個人向けリサーチAIツールが「チームのコラボレーションツール」という別カテゴリの機能を取り込みにいく動きでもある。Google DocsやNotionのような共同編集ツールが当たり前になった環境に、AIとの壁打ち自体を持ち込む形だ。個人の生産性ツールとチームのコラボレーションツールの境界が、リサーチ領域でも薄れつつある。

03
In Practice

誰に、どう効くか

共同研究チーム

複数人での文献レビューやシステマティックレビューを行うチームは、分析の途中経過をその場で揃えられるため、手戻りの多い作業ほど恩恵が大きい。まずは小規模な共同レビュー案件で試し、単独作業との効率差を比較するのが現実的な一歩。

PM・研究マネジメント

複数の研究者やアナリストの分析プロセスを可視化しやすくなり、進捗確認のための個別報告を減らせる可能性がある。導入初期はアクセス権限やセッション管理の運用ルールを決めておく必要がある。

個人利用の研究者

1人で完結する調査や個人プロジェクトでは、この機能による体験の変化はほとんどない。既存のワークフローをそのまま続けて問題ない。


認識のズレは、共有した瞬間ではなく
その場で揃えるほうが安い。


04
Risk & Outlook

導入前に考えておきたいこと

同時参加型のセッションは便利な反面、複数人が同じ会話の流れに介入することで、かえって分析の一貫性が崩れるリスクもある。誰がどの問いを投げ、どの結論を確定させたかの記録が曖昧になると、後から「なぜこの結論になったか」を追いにくくなる可能性がある。テキストチャットの共同編集で起きがちな「誰が何を決めたか分からなくなる」問題が、AIとの対話でも起きうる点は留意したい。

短期的には、まず小規模な共同レビュー案件でCollaborative Sessionsを試し、セッションの記録・担当範囲の分け方について自分たちなりの運用ルールを先に決めておくのが現実的だ。個人向けツールとして磨かれてきたElicitが、チーム機能でどこまで信頼性を保てるかは、今後の実運用の中で見えてくる。