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Claude Security

最強モデルを、直接は触らせない
Mythos 5という設計思想

Anthropicの脆弱性診断ツール「Claude Security」が、最上位モデルClaude Mythos 5で動き始めた。ただしMythos 5そのものへ自由にプロンプトを送ることはできず、利用者が受け取れるのは診断結果だけという、これまでとは異なるアクセス設計が採られている。

AI Navigate 編集部2026.08.25読了 7分

FABLE 5 / 直接API ユーザー モデル本体 自由な回答 MYTHOS 5 / Claude Security ユーザー Claude Security Mythos 5 診断結果のみ
01

What Happened

診断ツールに、
最上位モデルを積む

Anthropicは自社の脆弱性スキャナー「Claude Security」の中核モデルを、6月に発表した最上位モデルClaude Mythos 5に切り替えたと発表した。Claude Securityはコードベースをスキャンし、脆弱性をCWE分類付きの深刻度で評価し、パッチ案まで提示するツールで、これをAnthropic公式発表のとおり、姉妹モデルClaude Fable 5と同時に登場したMythos 5で動かす形になる。

ポイントは提供方法だ。MarkTechPostの報道によれば、Mythos 5は攻撃手法をシミュレートできるほど高度な能力を持つが、個人が自由な指示(プロンプト)を送って動かすことはできない。Claude Securityはユーザーにプロンプト入力欄を渡すのではなく、特定の脆弱性診断タスクの結果だけを返す設計になっている。

02

Mythos 5のアクセス条件

$10 / $50
100万トークンあたり入力/出力単価
診断結果のみ
直接プロンプト不可
招待制
Project Glasswing経由の限定提供

危険なのは、モデルの能力ではなく
直接アクセスそのものだった。


03

Why It Matters

「使わせない」設計が、
新しい安全策になる

Anthropicは「直接アクセスできるユーザーが最もリスクが高い」という立場を明確にしている。

Mythos 5は今年6月、姉妹モデルFable 5とともに発表され、当初はサイバーセキュリティ用途の検証済みパートナーのみに提供される招待制プログラム「Project Glasswing」経由で限定公開されていた(その後、米商務省が一部信頼できるパートナー向けに利用範囲を拡大することを認めている)。今回のClaude Securityへの統合は、その延長線上にある。報道内で引用されたAnthropicの説明を要約すると、「ユーザーがモデルに直接アクセスできる場合、悪意ある利用者がモデルを有害な方向へ誘導するリスクが最も高くなる。一方、ユーザーが受け取れるのが脆弱性パッチやアラートといった特定の出力だけであれば、そのリスクは大きく下がる」という考え方だ。つまりモデルの能力そのものではなく、「誰が・どうアクセスできるか」を制御することが安全性設計の主戦場になっていることを示す事例といえる。

04

Who It Affects

誰に、どう効くか

セキュリティ・エンジニア

Claude Securityを通じて最上位クラスの脆弱性検出能力を利用できるようになるが、Mythos 5自体をカスタムタスクに転用することはできない。診断・パッチ提案という決まった出力の範囲内での活用にとどまる。

企業のリスク管理・経営層

「診断結果だけを渡す」設計は監査説明がしやすく、社内導入のハードルが下がる。一方でMythos 5への直接アクセス自体は依然としてごく一部の認可済みパートナーに限られる点は理解しておく必要がある。

プロンプトインジェクション対策の担当者

「モデルを直接叩かせず、構造化出力だけを渡す」というアーキテクチャは、他の高権限AIツールを設計する際の参考パターンになる。

05

What's Next

次に見ておきたいこと

01

Claude Securityの提供範囲拡大を追う

現状は限定的な提供とみられるため、自社が対象になるタイミングをAnthropicの発表で確認する。

02

Mythos 5の直接アクセス拡大にも注目

米商務省が信頼できるパートナー向けの利用拡大を承認済みで、招待制の対象が今後広がる可能性がある。

03

自社の高権限AIツールにも同じ設計を検討

「直接プロンプトではなく構造化出力のみ」という制約は、社内向けの高リスクAI機能にも応用できる考え方だ。


06

Risks & Open Questions

手放しには喜べない点

この設計は理にかなっているが、限界もある。まず、「構造化出力のみ」という制約は裏を返せば柔軟性の欠如でもある。診断結果や決まったパッチ提案しか受け取れないため、既存の脆弱性データベースにない未知のパターンに対して、利用者側で追加の調査や判断を挟む余地は限られる。次に、Mythos 5自体はごく一部の招待制パートナーにしか直接アクセスが認められておらず、多くの企業にとっては「使える」というより「その恩恵を間接的に受ける」段階にとどまる。最後に、こうした出力制限型のアクセス設計は安全性を高める一方、モデルの意思決定プロセスがブラックボックス化しやすく、診断結果への過信を招くリスクも指摘できる。