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API Pricing War

軽量モデルの値下げ合戦、
Gemini 3.7 Flashが半額で参戦

GoogleがGemini 3.7 Flashを導入価格 100万トークンあたり入力$0.75 / 出力$3.75で公開した。7月30日にOpenAIがGPT-5.6 Lunaを最大80%値下げしたのに続く動きで、軽量モデル層の価格競争はここへきて一段と激しくなっている。

AI Navigate 編集部·2026.08.15·読了 6分

GEMINI FLASH $7.50 3.6 Flash $3.75 3.7 Flash GPT-5.6 LUNA $6.00 値下げ前 $1.20 値下げ後 出力 100万トークンあたりの価格(USD)
01
Why Now

発端は、OpenAIの大幅値下げだった

軽量モデル同士の値下げ合戦が、7月末から一気に加速している。

きっかけは7月30日、OpenAIが公式ブログで発表した大幅値下げだった。最も安価なGPT-5.6 LunaのAPI価格を、入力100万トークンあたり $1.00→$0.20、出力 $6.00→$1.20 と最大80%引き下げ。中位モデルのGPT-5.6 Terraも入力 $2.50→$2.00、出力 $15→$12 と20%下げ、最上位のGPT-5.6 Solは据え置いた。値下げの原資として、Sol自身が本番用GPUカーネルとフォワードパスの最適化を自律的に行い提供コストを20%削減したこと、投機的デコードの改善でトークン生成効率が15%以上向上したことをOpenAIは挙げている。あわせて32,000トークンを超える長文コンテキストへの追加課金(従来は50%増)も撤廃した。

この動きに、Googleが2週間で応じた形だ。8月13日、Google DeepMindは公式ブログでGemini 3.7 Flashを発表し、導入価格を入力100万トークンあたり$0.75、出力$3.75に設定した。軽量モデル層の値下げ競争は、もはやOpenAIとGoogleの2社間にとどまらない。Moonshot AIのKimi K3やZhipuのGLM 5.2、AlibabaのQwen 3.8 Maxなど、中国発モデルがフロンティア級に迫る性能をより低いコストで提供し始めていることが、両社に開発者引き止めのための値下げを迫っている構図がある。

2026.7.30 OpenAI Luna 最大80%引下げ 2026.8.13 Gemini 3.7 Flash 導入価格で公開 2027.1.1 標準価格へ (実質2倍)
FIG. 7月末のOpenAIの値下げから、Geminiの導入価格終了までの流れ
02
The Discount

Gemini 3.7 Flashの
導入価格

2026年12月31日までの期間限定

$0.75
/100万トークン(入力・導入価格)
$3.75
/100万トークン(出力・導入価格)
$0.075
/100万トークン(コンテキストキャッシュ)

この価格は、Gemini 3.6 Flashの発表時価格(入力$1.50 / 出力$7.50)のちょうど半額にあたる。導入価格は2026年12月31日までで、2027年1月1日からは入力$1.50 / 出力$7.50の標準価格に切り替わる——実質的に価格が2倍になる予定だ。Googleはこの期間限定価格を、コーディングや複数ステップの計画、文書推論といったタスクで3.6 Flashからベンチマークを引き上げたこと(FrontierCode 1.1 Mainで34.4%→43.6%、DeepSWE v1.1で48.6%→65.3%など)とセットで打ち出しており、「性能も価格も」でOpenAIに対抗する狙いが読み取れる。

03
Fine Print

「半額」の基準を確かめる

ただし「半額」という打ち出し方には注意が要る。Googleは3.7 Flash発表と同じタイミングで、既存のGemini 3.6 Flash自体の価格も同じ$0.75/$3.75まで引き下げていた。つまり「3.7 Flashは3.6 Flashの半額」という比較は3.6 Flashの発表時価格が基準であり、8月13日時点で実際に併売されている3.6 Flashの価格と3.7 Flashの価格は同額になる。値下げ幅の大きさだけでなく、比較対象がどの時点の価格かを確かめておきたい。

Gemini 3.6 Flash(発表時価格)Gemini 3.7 Flash(導入価格)
入力 $1.50 /100万トークン入力 $0.75 /100万トークン
出力 $7.50 /100万トークン出力 $3.75 /100万トークン
適用期限の定めなし2026年12月31日まで

04
Who Benefits

職種別に見る、効き方の違い

恩恵を受けるのは軽量モデルでコストを抑えたい層。大型モデル専用の用途には影響しない。

エンジニア

コーディングエージェントや大量のバッチ推論を軽量モデルで回している場合、出力トークン単価が半額になる効果は大きい。長文コンテキストを扱うRAGやエージェントのループ処理では月間コストが数十%規模で縮む可能性がある。ただし2026年内は導入価格である点を踏まえ、恒久コストではなく「今のうちお得な期間」として試算したい。

事業・経営

AI機能をプロダクトに組み込むSaaSやスタートアップにとって、原価となるAPI費用の値下げは粗利改善に直結する。OpenAIとGoogleが同時に軽量モデル層で値下げ競争をしている今は、ベンダーロックインを避けつつ複数社を比較検討する交渉材料にもなる。

プロダクトマネージャー

コスト面で見送っていた「常時AI呼び出し」の機能を、軽量モデル前提で再検討できる余地が広がる。ただし大型モデル専用の高度な推論・分析用途にはこの値下げは影響しない点を、社内の期待値としても正しく共有しておきたい。

05
Next Steps

乗り換え前に確認すべきこと

01

自分のワークロードでベンチマークする

FrontierCode 1.1 MainやDeepSWE v1.1などの数値はGoogle自身のベンチマークだ。実際のコーディング・エージェントタスクで現行モデル、Gemini 3.7 Flash、GPT-5.6 Lunaを並行実行し、精度とレイテンシを自分の目で比較したい。

02

価格の期限をコスト試算に織り込む

Gemini 3.7 Flashの$0.75/$3.75は2026年12月31日までの導入価格。2027年以降の予算計画には$1.50/$7.50の標準価格で見積もっておくと、年明けの請求額増に驚かずに済む。

03

軽量モデル同士を並行評価する

GPT-5.6 Luna(¥0.20/$1.20)とGemini 3.7 Flash($0.75/$3.75)は価格帯が異なる。単価だけでなく、既存SDK・エコシステムとの親和性や出力品質のブレも含めて選定したい。


値下げが効くのは、あくまで軽量モデルで完結する用途まで。
大型モデルでしか出せない精度を必要とする案件には、この価格競争は届かない。