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Memory · ChatGPT for Mac

ChatGPTは、
画面ではなく操作を覚え始めた。

毎回の会話で作業の背景を説明し直す手間は、地味だが積み重なる負担だった。ChatGPTのMacアプリに追加された「Computer History」は、クリックやアプリ切り替えといった操作イベントを記憶として蓄え、あとの会話に呼び出せるようにする。ただしオプトイン機能とはいえ、保存されるデータの扱いには注意が要る。

AI Navigate 編集部2026.08.15読了 7分

click typing app switch 操作イベントのみ抽出 History 端末内に保存 You ChatGPT 後の会話に文脈として反映
01
What Changed

プレビュー版「Chronicle」から
正式機能へ

ChatGPTのmacOSアプリに、Mac上のアプリ・Webサイトでの操作履歴を記憶に変換する「Computer History」が追加された。8月13日付けで9to5Macが報じており、以前のプレビュー機能「Chronicle」を置き換える形になる。仕組みは公式ドキュメント「Computer History | ChatGPT Learn」にまとまっており、Chronicleが画面のスクリーンショットを扱っていたのに対し、Computer HistoryはmacOSのアクセシビリティ機能を通じて得られるクリック・入力・キーボードショートカット・アプリ切り替えといった操作イベントだけを記録する設計に変わった。

提供対象はPro・Business・Enterpriseプランで、初期状態では既定でオフになっている。Proユーザーは設定から任意でオンにでき、EU圏(EEA)・スイス・英国は当面提供対象から除外されている。除外設定はアプリ単位・サイト単位で細かく指定でき、メニューバーから一時停止したり、直近10分・1時間・1日・全期間の単位で履歴を削除したりすることもできる。ユーザー側に細かな制御を残したうえでオプトインを求める設計は、Chronicle時代からの反省を反映したものと見てよさそうだ。


02
By The Numbers

データの寿命を、
自分で決められる

既定オフ
Pro/Business/Enterpriseとも初期状態は無効
3地域除外
EEA・スイス・英国は当面提供対象外
10分/1時間/1日
直近履歴を単位で選んで削除可能
03
Before / After

ChronicleからComputer Historyへ

Chronicle(旧プレビュー)Computer History(新機能)
画面のスクリーンショットを保存操作イベント(クリック・入力等)のみ記録
プレビュー限定で提供範囲が狭いPro/Business/Enterpriseに正式展開
アプリ単位の除外設定が限定的アプリ・サイト単位で細かく除外指定可

覚えているのは画面ではなく、
あなたが何をしたか


04
Who Benefits

誰に、どう効くか

Macで日常的に複数アプリを行き来しながらChatGPTを使うエンジニアやPMには、都度の文脈説明が減る効果が体感しやすい。前日調べていた資料やSlackでのやり取りを踏まえた続きの会話が、説明抜きで始められるようになる。マーケターのように複数キャンペーンのダッシュボードを行き来する仕事でも、直前まで見ていた数値を踏まえた壁打ちがしやすくなる。一方、常時アプリを行き来しない使い方や、そもそもプライバシーを重視してオンにしない選択をする人には、変化は感じられない。

特に効果が出やすいのは、複数プロジェクトを並行して抱え、頻繁に文脈を切り替える働き方だ。午前はコードレビュー、午後は資料作成というように作業内容が変わっても、直前までの操作履歴が引き継がれていれば、毎回ゼロから状況を説明し直す手間が積み重なりにくくなる。逆に一つのタスクにまとまった時間を使うタイプの働き方では、恩恵は限定的だろう。

05
Risks & Limits

「覚えている」ことの
裏返しのリスク

9to5Macの報道によれば、Computer Historyが生成する記憶ファイルは端末上で暗号化されておらず、同じmacOSユーザーアカウントで動く他のプログラムから読み取られうる状態にあるという。OpenAI自身も、Macアカウントの保護と、機密性の高いアプリ・サイトを記憶対象から除外するようガイダンスで案内している。オンにする際は、パスワードマネージャーや医療・金融系のアプリを最初から除外リストに入れておくなど、初期設定の段階でひと手間かける価値がある。

共有PCや家族アカウントでMacを使っている場合は、そもそも自分専用のログインユーザーで運用されているかを確認したうえで有効化を検討したい。暗号化されていないという設計上の制約は、機能そのものの利便性とは別に評価すべき前提条件であり、EEA・スイス・英国が初期展開から外れている背景にも、こうしたデータ保護面の論点が関わっている可能性がある。