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Elicit API & MCP Server — General Availability

論文を読むのは、
もう人間だけの仕事ではない。

文献レビューを支援してきた研究AI Elicit のAPIとMCPサーバーが、ベータの「橋渡し」作業を終えて正式版へ移行しました。エージェントが検索・スクリーニング・抽出・報告までを一気通貫でこなすSystematic Review APIが新たに加わり、Claude や ChatGPT から直接、査読前の下ごしらえを丸ごと任せられるようになります。

AI Navigate 編集部·2026.08.08·読了 7分
BEFORE(〜2026年7月) Elicit App 手動コピー 貼り付け Claude / GPT レビュー1件ごとに人が仲介 AFTER(GA・現在) Claude / GPT MCPクライアント Elicit API /api/mcp 138M論文 / 545K臨床試験 人の仲介なしで直結
01
Before / After

「ベータの橋渡し」が
なくなった

Elicit のAPIは2026年3月、Pro・Teams・Enterprise向けのプレビューとしてベータ公開されていました(Introducing the Elicit API)。当時の告知には「料金・レート制限・利用可能な機能は予告なく変わる」旨の注記が付いており、研究者やエンジニアは Elicit アプリ上で得た検索結果や抽出データを、Claude や ChatGPT へ手動でコピー&ペーストして使う「橋渡し」作業を挟む必要がありました。

それから4か月あまり経った2026年7月中旬、Elicit はElicit API と MCP サーバーが正式版(General Availability)へ移行したと発表しました(The Elicit API and MCP: Powering autonomous research engines)。同時に検索APIを増強し、新たに文献レビューを一気通貫で任せられる Systematic Review APIを追加。MCPサーバー経由なら Claude・ChatGPT・Copilot・Gemini など主要なMCP対応クライアントから、人の仲介なしにElicitのデータへ直接アクセスできるようになりました。


02
What Shipped

3本のAPIが揃い、
MCP一本で繋がる

エンドポイントを分けて公開した狙いは「エージェントに、必要な粒度の権限だけ渡す」こと。検索だけ使わせる、要約レポートまで作らせる、レビュー全工程を任せる——用途に応じて選べます。

Claude / ChatGPT エージェント Elicit MCP /api/mcp Search API Reports API Systematic Review API 138M 論文 545K 臨床試験 半構造化データベース
FIG. MCPサーバーが3本のAPIを束ね、エージェントとElicitの論文・臨床試験データベースを直結する

Search API

1億3,800万本の学術論文と54万5千件の臨床試験を、意味検索(semantic)またはキーワード検索で横断できます。エージェントが「関連文献を探す」工程をここに委譲できます。

Reports API

research question を投げると、数百本の論文・臨床試験を根拠に引用付きレポートを生成します。Markdown・PDF・DOCXで書き出せるため、そのまま社内資料やドラフトに転用できます。

Systematic Review API

検索戦略・スクリーニング基準・抽出パラメータ・報告形式まで、系統的レビューの全工程をパラメータで制御できます。PRISMA 2020準拠で、各判断が根拠の引用付きで監査可能です。

03
By The Numbers

精度は、コクラン994本の
レビューで検証済み

Elicitは自社ブログで、994件のコクラン系統的レビューを基準にした精度検証結果を公開しています。

138M
対象論文数(Search API)
545K
対象臨床試験件数
99%
全文スクリーニング精度(Cochrane 994本基準)
96%
データ抽出精度(同基準)

内訳は検索リコール95%、抄録スクリーニング97%、全文スクリーニング99%、抽出96%。Systematic Review APIはこの精度をAPI越しにそのまま呼び出せるという位置づけで、Elicitアプリ単体の機能をエージェント経由でも同水準で使える形です。裏を返せば、100%ではない以上、高stakesなレビューでは人によるセカンドチェックが引き続き前提になります。

信頼できるリサーチエージェントに必要なのは、
根拠となる証拠へのアクセスそのもの。


04
Who It Changes

誰の仕事が、
どう変わるか

エンジニアにとっては、統合コストが激減します。Claude や ChatGPT の「設定 > コネクタ > カスタムコネクタ追加」から、MCPサーバーURL https://elicit.com/api/mcp を登録するだけでSearch・Reports・Systematic Reviewの3APIすべてに接続できます。個別のラッパーコードを書いてベータAPIの仕様変更に追随する必要はもうありません。ただしAPI利用にはPro以上のプラン契約が前提で、Elicitのdeveloperページでキーを発行する手順自体は変わっていません。

PMやリサーチャーにとっては、「読む」から「監督する」への役割転換が起きます。検索戦略とスクリーニング基準を最初に設計してエージェントに渡せば、数百〜数千本規模の一次スクリーニングをエージェントが実行し、除外理由や根拠となる引用付きでPRISMA監査ログを残してくれます。人が最初から最後まで1本ずつ読む必要はなく、基準設計とレビュー結果の検収に集中できます。論文を日常的に読まない人にとっては、この変化は直接関係しません。

01

APIキーを発行する

Pro以上のプランでElicitのdeveloperページからキーを取得。まずSearch APIだけを軽く試すのが安全です。

02

MCPコネクタとして登録

Claude・ChatGPTの設定からカスタムコネクタとして https://elicit.com/api/mcp を追加し、既存のエージェントワークフローに差し込みます。

03

小規模レビューで試走

本番の大規模レビューの前に、既知の結論があるテーマでSystematic Review APIを走らせ、PRISMA監査ログと実際の論文精度を突き合わせて検証します。


05
Caveats

楽観だけでは終われない

接続まわりは実際にトラブルが報告されています。Anthropic のGitHubリポジトリには2026年6月28日付でElicitコネクタの「Authorization with the MCP server failed」という認証エラー報告が起票されたまま未解決で残っています(claude-ai-mcp Issue #503)。GA移行後に安定した保証はなく、社内導入時は接続の再現テストを挟むべきです。

精度面でも、抽出96%・全文スクリーニング99%は裏を返せば数%は取りこぼす計算です。系統的レビューは医療ガイドラインや薬事判断の根拠にもなる領域なので、エージェント任せにした結果を無検証で公開・提出するのはリスクが残ります。加えてAPI利用はPro以上の有料プランが前提で、無料枠だけでの検証はできません。「エージェントに丸投げできる」は正確には「一次スクリーニングと下書きまでを丸投げできる」であり、最終判断の人的レビューは当面外せない、という理解が現実的です。