PERPLEXITY / MODEL COUNCIL
1つの質問を、複数のAIに同時に聞く。
Perplexityの「Model Council」がクラウド版基盤「Perplexity Computer」に拡張された。OpenAI・Anthropic・Google系のモデルに加え、GLMやKimiのようなオープンウェイトモデルまで、2〜8個を選んで並列実行し、一致点と相違点を可視化する。
「複数のAIに同時に聞く」機能の来歴
静かに始まり、5か月かけて拡張された機能。
Perplexityが2026年に提供を始めた「Model Council」は、1つの質問に対して複数のAIモデルを同時に走らせ、回答を横並びで比較できる機能だ。Perplexity自身の公式ブログによれば、当初は1つの質問につき3つの異なるモデルを同時実行し、各モデルが独立して回答を生成したあと、Perplexity内蔵の統合エンジン(synthesizer)がそれらを分析して、一致点・相違点を構造化した比較表にまとめる設計だった。Storyboard18の報道が伝えた通り、これは「異なるモデルは異なるタスクを得意とする」という前提—要約、推論、創造性、数学、コーディング、情報源の扱いなど—に基づいて設計された機能である。複数の回答を並べるだけでなく、どこで意見が割れているかを可視化する点に独自性があった。
これと混同しやすいのが、2026年5月2日にPerplexity Computerへすでに導入されていた「19モデル並列実行」機能だ。こちらは最大19個のモデルを同時に走らせられるが、統合ビューによる一致・不一致の可視化は行わず、生の出力を並べるだけの機能だった。Model Councilはこれとは別系統の、比較・要約に特化した機能として提供されてきた。
2026年7月28日、The Registerは、Model Councilがローンチから5か月を経て、クラウドベースの「Perplexity Computer」プラットフォームにも拡張されたと報じた。 同記事によれば、ユーザーは2〜8個のモデルを自由に選択できるようになり、選択肢にはOpenAI・Anthropic・Googleといったフロンティアラボ製モデルに加え、GLMやKimiなどのオープンウェイトモデルも含まれるという。単一ベンダーの「唯一の正解」を提示する仕組みから、異なる思想・学習データを背景に持つモデル群を横断的に検証する仕組みへ、明確に舵が切られたことになる。
拡張を数字で見る
ローンチから5か月、静かに機能拡張が進んでいた。
使い方は4ステップ
質問を入力する
通常の検索と同じように、比較したい質問を1つ入力する。
モデルを2〜8個選ぶ
OpenAI・Anthropic・Googleなどのフロンティアモデルに加え、GLMやKimiのようなオープンウェイトモデルも選択肢に含まれる。
各モデルが独立して回答を生成
選んだモデルがそれぞれ独立に推論・生成を行い、他モデルの回答を参照せずに答えを出す。
synthesizerが統合ビューを作成
内蔵の統合エンジンが全回答を分析し、一致点・相違点を構造化した比較表にまとめる。個別の完全な回答も選んで確認できる。
誰に、どう効くか
1つのAIの答えを鵜呑みにしがちな人ほど、判断材料が増える。
エンジニア: モデルの得意/不得意を実測できる
コーディング相談や技術的な推論では、モデルごとに強い言語・弱いフレームワークが分かれることが多い。同じ実装相談を複数モデルに投げれば、どのモデルの提案にバグや古いAPIの誤用が紛れ込みやすいかを、統合ビューの相違点として即座に把握できる。1つのAIの提案をそのまま採用する前の、簡易的なクロスレビューとして使える。
ビジネス: 意思決定前のセカンドオピニオン
市場調査や競合分析のように「正解が1つではない」問いでは、モデル間の見解の割れ方自体が情報になる。全モデルが一致する結論は信頼度が高く、割れる論点は追加調査が必要な箇所として切り分けられる。稟議や提案資料の裏取りに、複数モデルの合意度という新しい指標を使える。
PM: 仕様や優先順位の壁打ち相手が増える
要件定義や優先順位づけの相談は、聞くAIによって前提の置き方が変わりやすい。2〜8個のモデルに同じプロダクト課題を投げ、synthesizerがまとめた一致・不一致点を見れば、自分やチームが見落としていた論点、あるいは1つのAIの癖に引きずられていた判断に気づける。
単一AIとModel Councilの違い
| 従来: 1つのAIに聞く | Model Council: 複数AIを横断比較 |
|---|---|
| 回答系統は1つだけで、誤りに気づきにくい | 複数系統の回答を並べて相互検証できる |
| モデルの得意/不得意のズレに気づきにくい | 要約・推論・コーディングなど得意分野の違いが一致/不一致として可視化される |
| 個別回答を読むには聞き直しが必要 | 統合ビューと個別回答を同じ画面で両方確認できる |
次に何をすべきか
短期的には、重要な問いほど「聞き先」を増やす運用が広がりそうだ。
Model Council的な使い方は、今後ほかのAI製品にも波及していくと見られる。読者が今すぐできることは次の3つだ。
- 重要な意思決定に関わる質問は、1つのAIの回答だけで終わらせず、複数モデルを横断できる手段で裏取りする。
- 統合ビューでは「一致した部分」より「割れた部分」に注目し、なぜ意見が分かれたのか(前提データ、得意分野の違いなど)を掘り下げる。
- 個別回答の情報源(引用)欄も必ず確認し、synthesizerの要約だけを鵜呑みにしない。
ただし楽観一辺倒にはなれない。The Registerの見出しが皮肉交じりに「tokenmaxxing」と評したように、2〜8モデルを毎回並列実行すれば、その分だけ計算コストとトークン消費は膨らむ。また複数モデルの意見が一致したからといって、それが事実として正しいとは限らない—学習データや事前学習の傾向が似たモデル同士なら、同じ誤りに揃って自信を持つ可能性も残る。Model Councilは「意見の割れ方を可視化する」機能であって、「正解を保証する」機能ではない。