チャット AI に文章を貼って「直して」と頼むのも便利ですが、英文を書いているそばから誤りを赤線で指摘してくれる「常駐型校正ツール」も別ジャンルとして根強く使われています。代表格が Grammarly と ProWritingAid。この記事では両者の違い・料金・使い方を初心者向けに整理し、チャット AI とどう組み合わせると効くかまで一気に押さえます。
First, the big picture
常駐型校正ツールとは、ブラウザ拡張やエディタのプラグインとして常に裏で動き続ける校正アシスタントです。Gmail や Word で文字を打つと、誤字・文法ミス・不自然な言い回しに下線が出て、クリックすると修正案が示されます。「あとでまとめて校正する」のではなく「書いている瞬間に直る」のが、チャット AI への貼り付けとの決定的な違いです。
FIG.1 常駐型は「打鍵中に直る」、チャットAIは「書き上げてから相談する」
なお料金プランは頻繁に変わります。本記事の数値は 2026 年時点の目安なので、契約前に必ず公式サイトで最新を確認してください。
01Grammarly ―― いま「Superhuman」の傘下に
Grammarly は英文校正で最も普及しているツールです。スペル・文法・句読点の自動チェックに加え、簡潔さや明瞭さの改善提案、トーン検出(フォーマル / カジュアル)、AI による書き換え・要約まで揃っています。Gmail・X・LinkedIn・Notion などのブラウザ拡張、Microsoft Word / Outlook 連携、Mac / Windows のデスクトップアプリ、モバイルキーボードと、入力する場所をほぼカバーします。
初心者がまず知っておくとよいのが、会社名の変化です。Grammarly を運営する会社は 2025 年に高速メールアプリ Superhuman を買収し、同年 10 月に社名そのものを「Superhuman」へ変更しました。文章校正の主力プロダクトは引き続き「Grammarly」という名前ですが、運営は Grammarly 単体の会社から、Grammarly・Coda(ドキュメント / 表計算ワークスペース)・Superhuman Mail をまとめたAI 生産性スイートへと姿を変えています。
FIG.2 「Grammarly」はブランド名として残り、運営会社は Superhuman に
新顔の Superhuman Go は、校正にとどまらず複数のアプリをまたいで「次にやるべきこと」を提案するエージェント型 AI アシスタントです。ただし校正だけが目的なら、従来の Grammarly 拡張機能で十分。新スイートは「もっと広い作業支援が欲しくなったら検討する」程度の理解で構いません。
料金の目安(2026 年時点)
- 無料プラン:基本のスペル・文法・トーンチェックに加え、AI 機能を月 100 回程度まで利用可。まずはここから。
- Pro:年払いで月 12 ドル前後(年額 144 ドル前後)、月払いだと30 ドル前後。AI 機能が月 2,000 回程度に拡大し、剽窃チェックなどが付きます(旧称「Premium」が「Pro」に改称)。
- 組織向け:人数課金の企業プランに集約。チーム管理や統制機能が中心です。
「無料でどこまで足りるか」を見極めてから有料へ上げるのが堅実です。日常的に英文を大量に書く人ほど Pro の AI 回数が効いてきます。
02ProWritingAid ―― 長文・創作向けの深い分析
ProWritingAid は、ブログ記事・小説・論文といった長い文章を腰を据えて磨く用途に強いツールです。読みやすさ、語の重複、文の長さ、文体の癖など 20 種類以上のレポートで原稿を多角的に診断します。Microsoft Word・Google Docs・Scrivener(小説執筆ソフト)との統合があり、作家・ライターから支持されています。
AI 面では、エディタ内蔵の Sparks がトーンや簡潔さの書き換え、章単位の長めの講評(チャプター・クリティーク)を担います。
料金の目安(2026 年時点)
- 無料:短い文章の範囲で機能を試せます。
- Premium:年払いで月 10 ドル前後(年額 120 ドル前後)、月払い 30 ドル前後。20 種以上のレポートと語数無制限、各種連携が使えます。
- Premium Pro:年額 144 ドル前後。AI(Sparks)の 1 日あたり利用回数が大きく増え、章単位の AI 講評など上位機能が付きます。
- 買い切り(ライフタイム):Premium が 399 ドル前後、Premium Pro が 699 ドル前後の一括払い。長く使うなら年額より割安になる場合があります。
頻繁に長文を書く人にとって、買い切りプランは数年使えば年額より得になりやすい。
03どちらを選ぶか ―― 書く物で決める
2 つは競合というより得意分野が違う道具です。短く速いやり取りが多いなら Grammarly、じっくり長文を磨くなら ProWritingAid、と書く物で選ぶのが失敗しにくい考え方です。
| Grammarly | ProWritingAid |
|---|---|
| ビジネスメール・SNS 投稿・短文 | 長文記事・ブログ・小説・創作 |
| 書く場所が幅広い(拡張・アプリ) | Word / Google Docs / Scrivener と深く統合 |
| その場で素早く直したい | 20+ レポートで腰を据えて分析したい |
論文・学術のように正確さと構成の両方が問われる文章では、常駐型で表層を整えつつ、構成や論理はチャット AI(Claude / ChatGPT)に相談する併用が現実的です。
04日本語には使えるか ―― 最初に押さえる注意点
ここは導入前に必ず知っておくべき点です。Grammarly も ProWritingAid も英語向けのツールで、日本語の校正は対象外です。「常駐して日本語も直してくれる」と期待して入れると合いません。
日本語を常駐的に整えたいなら、文賢・Just Right!・Microsoft Editor(日本語)などの専用ツールが選択肢です。手軽さなら、ChatGPT / Claude に「この文章を校正して」「もっと自然な日本語に」と頼むのが早道です。
英語の常駐校正
Grammarly / ProWritingAid。書きながら下線で指摘。
日本語の校正
文賢・Just Right!・Microsoft Editor(日本語)など専用ツール。
言語を問わず相談
ChatGPT / Claude に貼って校正・推敲を依頼。
05使い方の基本
どちらも「インストール → 書く → 指摘を確認 → 採否を判断」という流れは共通です。
Grammarly を使う
Chrome / Safari / Firefox の拡張機能を入れてアカウント連携。Gmail などで書くと誤字・文法ミスに下線が出て、クリックで修正案が出ます。Web 版に文章を貼れば、改善提案・トーン分析・読みやすさスコアを一覧できます。
ProWritingAid を使う
Word / Scrivener プラグイン、または Web で起動。Style / Grammar / Overused / Sentence Length / Readability などのレポートを選び、統合レポートで全体スコアと改善箇所を一覧で確認します。
採否は自分で決める
提案には文脈に合わないものも混じります。すべて受け入れるのではなく、意図に合うものだけ採用する――この最終判断は人がやります。
06チャット AI との違いと組み合わせ
常駐型校正とチャット AI は、どちらが上ということはなく役割が違います。表層(誤字・文法・文体)は常駐型が速く、構成・論理の組み替えはチャット AI が得意です。
| Grammarly / ProWritingAid | ChatGPT / Claude |
|---|---|
| 常駐型・書きながら自動指摘 | 都度貼り付けて依頼 |
| ほぼ瞬時に下線が出る | 数秒待って回答が返る |
| 表層〜文体の修正が得意 | 構成・論理の組み替えまで可能 |
| 原則、対話はできない | 「なぜ?」と理由を聞ける |
FIG.3 常駐型で表層 → チャットAIで構成 → 常駐型で最終点検、の往復
おすすめの流れは「書きながら常駐型が自動修正 → 書き終えたらチャット AI に構成・論理の改善を依頼 → 最後にもう一度常駐型で読みやすさを点検」です。ただしツールを増やしすぎると確認の手間が増えます。実際に毎日回すのは 1〜2 個に絞るのが現実的です。
07よくある勘違い
- 「日本語も直してくれる」:Grammarly / ProWritingAid は英語向け。日本語は別ツールかチャット AI に任せます。
- 「常駐型だけで完璧」:表層には強いものの、論理や構成の組み替えはチャット AI が得意。役割が違うと考えます。
- 「指摘は全部受け入れる」:文脈に合わない提案も混じります。採否は人が判断します。
- 「Grammarly は会社ごと無くなった」:消えたのは旧社名で、校正プロダクト「Grammarly」は継続。運営会社が「Superhuman」に変わっただけです。
次の記事では、社内ドキュメントの隣で使える Notion AI を扱います。