「テキストやラフスケッチから、アプリの画面イメージを丸ごと生成する」——UI 生成 AI は、そんな初期案づくりを数分に縮めるツールです。代表格だった Galileo AI は 2025 年に Google に買収され、いまは Google Labs の Stitch として生まれ変わりました。もう一方の Uizard は 2024 年に Miro 傘下に入りつつ、単体ツールとして進化を続けています。本稿では「どんな道具か」「どう使うか」「どこに気をつけるか」を、最新の事実に沿って整理します。
FIG.1 UI 生成 AI は「初期案の量産機」。最終的な品質に仕上げるのは人の仕事
大切な前提を一つ。これらの AI が得意なのは「たたき台を速く、たくさん出す」ことです。配色・余白・配置がそれらしく整った画面が短時間で手に入ります。一方で、本物のアプリに必要な状態設計(読み込み中・エラー・空っぽのとき)やアクセシビリティ、実装のしやすさまでは面倒を見てくれません。議論の素材を出す道具、と捉えると失敗しにくくなります。
01「Galileo AI」はいま Google Stitch になった
初学者がいちばん混乱しやすいのがここです。かつて単体サービスとして人気だった Galileo AI は、2025 年 5 月に Google が買収しました。現在は独立した製品としては提供されておらず、Google Labs(Google の実験的プロダクト置き場)の Stitch という名前に統合されています。旧 Galileo のドメインにアクセスすると Stitch のページへ誘導される状態です。
Stitch は Galileo の生成エンジンを引き継ぎつつ、Google の生成 AI である Gemini で動くようになりました。言葉でアプリの流れを説明すると複数画面を一度に生成でき、結果を Figma に取り込める形や HTML / CSS、React のコードとして書き出せます。2026 年時点では Google Labs の実験段階にあるため無料で使えています(生成回数には月あたりの上限があり、標準モデルと高性能モデルで枠が分かれます)。ただし「いつまで無料か」「正式版でどう課金されるか」は未確定なので、料金や上限は必ず公式で最新を確認してください。
FIG.2 「Galileo AI」を探しても今は出てこない。実体は Google Stitch
02「Uizard」は Miro 傘下で単体ツールを継続
もう一方の Uizard(ウィザード)はコペンハーゲン発のツールで、2024 年 6 月にオンライン共同編集ホワイトボードの Miro が買収しました。ただし Galileo と違い、Uizard は独立した製品・独立した料金体系のまま提供が続いています。Miro の体力を背景に機能を増やしている、という位置づけです。
中核機能は Autodesigner 2.0。チャットのように言葉で指示すると、複数画面のつながった試作(プロトタイプ)を生成します。さらに、手描きのワイヤーフレームを撮影して取り込む、既存アプリのスクリーンショットを編集可能なデザインに変換するといった「絵や写真から起こす」入力にも対応しています。料金は無料プラン(プロジェクト数・画面数・月あたりの生成回数に上限)から、有料の Pro / Business まで段階があります。価格やプラン内容は頻繁に変わるため、ここでは金額を断定せず、検討時に公式の料金ページで確認するのが安全です。
| Google Stitch(旧 Galileo AI) | Uizard(Miro 傘下) |
|---|---|
| Google Labs の実験ツール。Gemini で生成 | 独立した製品として継続。Autodesigner 2.0 が中核 |
| 2026 年時点は無料(生成回数に上限)。正式版の料金は未確定 | 無料+有料プランの段階制。内容は変動するため公式確認 |
| 言葉から複数画面。Figma 取り込み・HTML/CSS/React 書き出し | 言葉に加え、手描きラフ・スクショからも画面を生成 |
どちらも「テキストやラフから UI 案を量産する」点は共通です。違いは出自と立ち位置で、Stitch は Google エコシステム・コード書き出し寄り、Uizard はラフ/スクショ取り込みなど入力の柔軟さに強みがあります。とはいえ機能は猛烈に動いているので、「今この瞬間に何ができるか」は必ず最新の公式情報で確かめてください。
03こういう場面で効く
UI 生成 AI は万能ではありません。最初のアイデアを目に見える形にして、議論を前に進めたいときに最も価値が出ます。
叩き台を即作る
「形にして話したい」段階で。頭の中のアプリ像を 5 分で画面にして、チームの会話の起点にする。
非デザイナーの一歩目
デザイン経験がなくても、言葉で指示してそれらしい初期案を出せる。要件を絵で共有できる。
複数案を見比べる
同じ要件で何パターンも短時間に生成し、方向性を素早く絞り込む。捨て案を作るコストが激減する。
04使い方の基本フロー
どちらのツールでも、流れは似ています。言語化 → 生成 → 持ち込み → 仕上げの 4 段。AI に丸投げせず、前後を人が固めるのがコツです。
画面の目的と要素を言葉にする
「誰が・何をする画面か」「必要な要素(検索欄・一覧・ボタン等)」を先に整理。曖昧なまま投げると曖昧な案が返る。汎用 AI(チャット型)で要件を整理してから渡すと精度が上がる。
UI 案を複数生成する
Stitch なら言葉で複数画面を、Uizard なら言葉・手描き・スクショから生成。1 発で決めず、何パターンも出して比べる。
良い案を Figma などに持ち込む
採用候補を Figma に取り込み、自社のデザインシステム(色・文字・部品のルール)に合わせて整える。生成物をそのまま本番にしない。
実装性・一貫性を人が仕上げる
状態設計(読み込み・エラー・空)、操作の一貫性、文言、アクセシビリティを人が補う。ここが品質の分かれ目。
05過信しないための注意点
生成された画面は「完成品」ではなく「下書き」です。次の落とし穴を知っておくと事故を防げます。
- 見た目だけ整って実装が非現実なことがある:あり得ないレイアウトや、データ量を考えていない表示が混じる。エンジニア視点での実現性チェックが要る。
- 状態設計が抜けがち:正常時の 1 画面は出ても、読み込み中・エラー・データ 0 件の画面までは自動で揃わない。人が補う前提で。
- アクセシビリティは別途確認:文字と背景のコントラスト、操作要素の大きさ、キーボード操作などは生成任せにしない。
- 機能・料金・出力形式は動く:とくに Stitch は実験段階、Uizard もプラン改定が頻繁。「無料」「○○に対応」はその時点の公式情報で確認する。本稿の記述も将来変わり得る。
Where the Human Adds Value
AI は「量」、人は「質」を担当する
UI 生成 AI を使いこなす鍵は、役割分担をはっきりさせることです。AI はたたき台を大量に速く出す。人はその中から選び、実装可能性・一貫性・アクセシビリティ・状態設計を加えて製品の品質に引き上げる。下図のように、AI の出力は人の判断を通って初めて使える資産になります。
FIG.3 生成 AI の出力は「素材」。人の判断を通して初めて製品の品質になる
06まとめ
UI 生成 AI は、初期案づくりの速度を劇的に上げる「叩き台の量産機」です。かつての Galileo AI は Google Stitch(Google Labs・Gemini 駆動・2026 年時点は無料)へ、Uizard は Miro 傘下で Autodesigner 2.0 として、それぞれ進化を続けています。どちらも入口は「言葉やラフから画面を起こす」点で同じ。
速く出すのは AI、製品の品質に仕上げるのは人。
まずは無料で触れる範囲で、手元の小さなアイデアを 1 画面、言葉から起こしてみるのがおすすめです。出てきた案を鵜呑みにせず、実装性・状態・アクセシビリティを自分で点検する——その往復が、AI を「議論を速める相棒」に変えていきます。機能と料金は移り変わるので、本格採用の前には必ず各ツールの公式情報で最新を確認してください。