音楽生成入門:Suno / Udio / AIVA で作曲・編曲

AI Navigate Original / 2026/4/27

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要点

  • テキスト 1 行でボーカル曲、Suno と Udio が主役
  • AIVA はクラシック/映像、Soundraw は日本発ロイヤリティフリー
  • プロンプト:ジャンル+雰囲気+楽器+テンポ+用途、参照は抽象的に
  • 商用公開前に著作権・ライセンス条件を確認する

テキストを数行打つだけで、ボーカル入りの楽曲が数分でできあがる——音楽生成 AI はそこまで来ました。中心にいるのが Suno(歌もの全般)、Udio(音質・ボーカル)、AIVA(劇伴・クラシックの伴奏)の3つです。ただし2025年末から2026年にかけて、大手レコード会社との和解とライセンス契約で 「作った曲を自由にダウンロードできるか」「商用に使えるか」が大きく変わりました。本稿は、初めて触る人がつまずかないよう、各ツールの今の姿・プロンプトの書き方・用途別の選び方・権利の勘どころを順に整理します。

プロンプト+歌詞 音楽 AI 作曲・編曲・歌唱 楽曲(音源) 利用条件を確認

FIG.1 プロンプト → AI が作曲・歌唱 → 音源。最後の「利用条件の確認」が2026年は特に重要

012026年の音楽 AI 地図

まず全体像です。歌もの(ボーカル入りポップス等)と、伴奏もの(楽器だけの劇伴・BGM)で得意分野が分かれます。代表的な3ツールを、初学者がまず知っておくべき軸で並べると次のようになります。

Suno / Udio(歌もの)AIVA(伴奏・劇伴)
歌詞つきのフルソングを生成ボーカルなし、楽器による作曲が中心
ジャンルや雰囲気を言葉で指示テンポ・楽器・構成を細かく指定でき、MIDI / 楽譜で書き出せる
2025〜26年にレーベルと和解し、ダウンロードや配信の条件が変化中ライセンス済みデータで学習と明示。商用ライセンスが整理されている

大きな前提として、2025年後半に Universal Music Group(UMG)・Warner Music Group(WMG)などの大手レーベルが Suno・Udio と相次いで和解し、ライセンス契約を結びました。これにより両サービスは「学習データもライセンス済み、配信も保護された環境で」という方向へ作り直されつつあります。つまり「数か月前のレビュー記事と挙動が違う」可能性が高いので、料金・ダウンロード可否・商用条件は必ず公式の最新表記で確認してください。

02Suno — 歌もの全般のいちばん手前の選択肢

Suno は「テキスト1行から、構成のしっかりしたフルソング」を作るのが得意で、日本語の歌詞にも対応します。2026年時点の現行モデルは v5 / v5.5 系で、初期バージョンより歌声の自然さ(息づかいや感情の抑揚)と曲の構造的な一貫性が上がり、作り直し(リトライ)の回数が減っています。

  • Custom(カスタム)モード:歌詞を自分で書いて投入できる。メロディだけ欲しいときはインスト指定も可能
  • Song Editor / ステム分離:曲の一部を編集したり、ボーカルと伴奏を別トラック(ステム)に分けて書き出せる(有料プラン)
  • Suno Studio:マルチトラック編集や MIDI 書き出しに対応する制作環境。上位プランで利用
  • Voices(自分の歌声):本人確認を経て、自分の歌声をモデルに学習させる機能(上位プラン)

料金は変動が激しい領域です。2026年6月時点では公式ページに年額換算のPro / Premier相当の価格(おおむね月8〜10ドル / 24〜30ドル前後)が並び、無料枠でも生成自体は試せます。正確な金額・生成回数・商用可否は必ず公式の料金ページで確認してください。一般に 商用利用は有料プランのみで、無料枠で作った曲は商用配布の対象外という設計が続いています。

What Changed in 2026

「作った曲を持ち出せるか」が分かれ道

Suno は2025年12月に Warner Music Group と和解・提携しました。アナウンスによれば、2026年にはより高度でライセンス済みの新モデルを投入し、現行モデルは順次廃止される方針です。あわせて、無料枠で作った曲はダウンロードできず再生・共有のみダウンロードは有料アカウント前提で、ダウンロード数に上限が設けられる形へ移行するとされています。

無料枠 再生 共有 DL不可 有料枠 DL可 上限あり (追加は課金)

FIG.2 移行後の想定:無料=再生・共有のみ/有料=ダウンロード可(数に上限)

商用で配信プラットフォームに載せたい人ほど、この変更の影響を受けます。「サブスクを切ったら手元の曲はどう扱われるか」「ダウンロードの上限はいくつか」を契約前に確認しておくと安全です。

03Udio — 音質で評価、ただし「壁の中」へ

Udio はボーカルや音の質感で高く評価されてきたサービスです。一方で権利面の動きが最も大きく、初学者は今の運用形態を必ず確認すべきツールでもあります。

経緯を時系列で押さえます。2025年10月に UMG が Udio と訴訟和解+ライセンス契約を発表し、続いて11月に Warner、12月にインディー連合 Merlin、2026年1月に Kobalt が同様の契約に加わりました。これらの契約は「ウォールドガーデン(walled garden、壁に囲まれた庭)」と呼ばれる方式で、生成した曲はプラットフォーム内で再生・共有できるが、外部へダウンロード・配信はできないという設計です。ライセンス済みデータで学習し直した新プラットフォームを2026年に公開する計画とされています。

プラットフォーム内(壁の中) 再生 共有 編集 外部DL・配信は不可

FIG.3 ウォールドガーデン=中では使えるが、外への持ち出しは遮断される

この変更は利用者の反発も招きました。新プラットフォーム公開前にも関わらずダウンロードが一時無効化され、批判を受けて Udio が48時間限定でダウンロードを再開する一幕もありました(その後の運用は流動的)。要点は次の通りです。

  • 「自分が作った曲を持ち出せる前提」は崩れつつある。サブスク契約の目的が「外部で使える音源を作ること」だった人ほど影響が大きい
  • かつて語られた「最大15分の長尺」「Inpainting(部分再生成)」「ステム書き出しで DAW 仕上げ」といった自由な持ち出し前提の使い方は、新方式では同じ形で使える保証がない
  • 外部配信が前提の制作なら、契約前にダウンロード・配信の可否を必ず最新情報で確認する

04AIVA — 楽器の作曲・劇伴と、MIDI で仕上げる人向け

AIVA は歌ものではなく、楽器による作曲(劇伴・シネマティック・ゲーム音楽・BGM)に特化したツールです。「ライセンス済みデータで学習」を掲げており、権利面で慎重に進めたい人の選択肢になります。

  • 細かい指定:テンポ(おおむね40〜200 BPM)、長さ(15秒〜10分程度)、セクションごとの楽器(弦・金管・打楽器など)、構成(イントロ→展開→クライマックス→アウトロ)を作る前に設定できる
  • テンプレート:「Heroic Adventure」「Dark Suspense」「Fantasy RPG」など、ジャンル/ムード別のプリセットが多数
  • 書き出し:MP3 のほか、編集できる MIDI(楽器チャンネル割り当て付き)や WAV を出力可。Logic Pro / Ableton Live / Cubase などで続きを作り込める

料金はフリーミアムで、無料プランは作曲は無制限ながら短い透かし音や低音質MP3などの制約があります。有料は Standard(年額換算で月15ユーロ前後)と Pro(同49ユーロ前後)が中心。商用利用はプランと選ぶライセンス種別で決まり、非商用 / 限定商用(YouTube・Twitch・TikTok・Instagram 等での収益化)/ 著作権の全面譲渡の3段階が用意されています。正確な料金と各ライセンスの範囲は公式で確認してください。

05プロンプトの基本フォーマット

歌もの系(Suno / Udio)のプロンプトは、要素を並べるだけで精度が上がります。出発点は次の型です。

ジャンル+雰囲気+楽器+テンポ+用途を一息で書く。

  • :「シティポップ、夜景、シンセとサックス、120BPM、商品CM用の60秒インスト」
  • 歌詞:Suno の Custom モードで歌詞を直接書く(日本語可)。サビ・Aメロなど構成を書き分けると安定する
  • 注意:「[実在アーティスト名] みたいに」と特定の人を名指しする指定は規約違反になりやすい。「80年代風シンセポップ」「疾走感のあるアニメ OP 調」のように抽象的な言葉で雰囲気を伝える

AIVA は言葉のプロンプトより、テンプレート選択+テンポ・楽器・長さの数値指定が中心です。「先に枠(構成と尺)を決めてから生成」という順番が向いています。

06用途で選ぶ

BGM・ジングル

動画・ポッドキャスト・企業PVの下地。歌詞不要ならインスト指定の Suno、楽器構成を細かく決めたいなら AIVA。配信に載せるなら持ち出し可否を要確認。

デモ・たたき台

作曲家やCM提案のラフ。複数案を一気に出し、良い案を人間がアレンジ・差し替え。プラットフォーム内検討だけなら持ち出し制限の影響は小さい。

映像の劇伴

シネマティック/クラシックは AIVA、ポップス寄りは Suno。映像尺に合わせて秒数を指定。MIDI で書き出して微調整できる AIVA は仕上げと相性が良い。

個人の創作・SNS投稿で歌もの曲を公開する場合は、公開前にそのツールの利用規約(生成物の権利・AI生成表示・配布可否)を読むのが前提です。プラットフォームによっては「AI生成楽曲」の表示や、ダウンロード・配信の制限が関わります。

07制作ワークフローの型

01

用途と尺を決める

「何に使うか(CM・動画・SNS・劇伴)」と「秒数」を先に固定する。ここが曖昧だと生成が散らかる。

02

プロンプトと歌詞を用意する

ジャンル+雰囲気+楽器+テンポ+用途を書く。歌ものは構成(Aメロ/サビ)も指定。特定アーティスト名は避ける。

03

複数案を生成して選ぶ

4〜8案ほど出して比較。気に入った案を基準に、言葉を少しずつ変えて方向を寄せていく。

04

持ち出し可否を確認して仕上げる

AIVA は MIDI / WAV を書き出して DAW で仕上げ。Suno は対応プランでステム書き出し。Udio は外部持ち出しの可否を必ず最新情報で確認してから運用に組み込む。

08権利と商用利用の勘どころ

音楽 AI は権利関係が動いている最中の分野です。「公開・販売する前に確認する」を習慣にしてください。とくに次の4点は外せません。

  • 学習データと和解の経緯:Suno・Udio は大手レーベルから訴訟を受け、2025〜26年に和解+ライセンス契約へ進んだ。今後はライセンス済みデータで学習した新モデル/新プラットフォームへ移行する方向
  • ダウンロード・配信の可否:Udio はウォールドガーデン(外部持ち出し不可)、Suno は無料=再生・共有のみ/有料=ダウンロード(上限あり)へ移行。契約前に必ず確認
  • 生成物の権利:誰に帰属するか・商用に使えるかは各ツールの規約と契約プラン次第。「有料なら無条件で何でもOK」と決めつけない
  • 既存曲との類似:たとえ規約上クリアでも、出力が実在曲に酷似していれば別途の侵害リスクが残る。特定アーティストを模倣する指示はしない

料金・条件は頻繁に変わります。本稿の金額や挙動は2026年時点の傾向であり、実際に使う前に各社の公式ページで最新の料金・商用条件・ダウンロード規定を一次情報として確認してください。

09まとめ

歌ものなら Suno(手前の選択肢として扱いやすい)と Udio(音質)、楽器の作曲・劇伴と MIDI 仕上げなら AIVA——これが2026年の基本の地図です。技術的には BGM・ジングル・デモ・SNS創作で十分実用段階に入りました。ただし2025〜26年のレーベル和解で「作った曲を持ち出せるか/商用に使えるか」のルールが大きく動いています。最初の1曲は無料枠やデモ用途で気軽に試し、本番で配信・販売する段になったら、必ずそのツールの最新の利用条件を確認してから公開しましょう。